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「夜のピクニック」
恩田 陸  


上手く言うことなんてできない。
きっと、分かってもらえないだろうとも思う。
でも、あの一夜の出来事は、
紛れもない奇蹟だった。
ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠不変の青春小説。(帯より)



こんな本を書くなんて、本当に恩田陸は天才かしら、そう思いつつ、ラストまで読みすすみました。
夜間歩行。ただただ、集団で歩くだけのその行事が、彼らの高校時代、そして青春を謳い上げます。

すごいなと思うのは、アクションとしては、歩くだけの単調な動作の連続で、しかも、周囲の風景も、そんな代わり映えしないのに、その中で、登場人物たちの現在過去未来が、生き生きと描かれているからです。
主人公の二人を中心に、彼らの魅力的な仲間が彩りを添えて、飽きることなく、ストーリーを盛り上げてゆくというのは、すばらしいですよね〜〜。

読み終わる頃には、私まで夜間歩行をしていたかのような感覚まで持ちました。学生時代に、同じような行事があったからなおさらかもしれません。
今から思うと、あの頃が青春まっただ中だったんだなと、懐かしく思い出されますが、その当時、その青春を謳歌していたかというと、決してそんなことはなく、なんだか、悩みばっかりで、どろどろした感覚だったような気がします。
青春って、思い出したとき、初めて青春になるのかな〜〜。(2005.10.17)