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「さよならバースディ」

荻原 浩  





サルだけが知っている愛する人の真実
第18回山本周五郎賞受賞第一作「明日の記憶」
彼女はなぜ死んだのか?目撃者は人と会話をするサル、バースディだけ。
若き研究者が謎を追う長編ミステリー。 (裏表紙より)



サルの中でも比較的知能が発達していると言われるボノボという種類のサルのバースディ。
キーボートを使って研究員とおしゃべり=実験する様子は、微笑ましくも、けなげです。
でも、それ以上に、研究員たちと、遊んだり、甘えたりする様子は、愛らしいですね〜。
まだ三歳で遊びたい盛りのバースディが、肩に乗ったり抱きついたりする様子が、目に浮かびました。
ただ、この話は、人の死が二つも絡んでくるので、悲しみも伴うものなのでした。

ストーリーは、自殺か、他殺か?というミステリーになっていて、そのカギを、バースディが握っているという話です。バースディの生態から、研究の様子など、詳しく書かれてあって、ここまで意思伝達できるならば、こんな事も可能かなと思いました。それに、なにしろ、バースディのしぐさが可愛くて、思わず引き込まれてしまいました。
ただ、題名から彼との別れが最終的に存在することが、分かってしまうのが、残念ですねーー。
私には、どうして、題名に、結末が分かってしまうような言葉を付けるのか、さっぱり理解できません。(「星になった少年」も、その例ですが。)

彼女のあの行動には、どういう理由があったのか、ラスト近くになると、そろそろ気になり出すのですが、この結末も、想像できませんでした。そして、ちょっと泣いてしまいました。(2005.11.24)