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「干潟の光のなかで」

ハンス−ヨゼフ・オルトハイル  


18世紀末、水の都ヴェネチア。
光に満ちた干潟にある日ひとりの美しい若者が打ち上げられる。
伯爵の使用人となった謎の若者アンドレアは、
水と、空、そして光線の輝きと動きとを
あるがまま描き出していく。
ゴンドラ、運河沿いの隠れ家、人目を忍ぶ人妻との逢瀬。
そして、激しい嫉妬の果てにおとずれた恋の結末とは・・・。 (帯紙より)



不思議な、そして素敵な物語でした(^^)。
干潟の小舟の中で発見された、記憶を失った美貌の青年。彼の周りで起こる、様々な波紋を、流れるような文体で魅力的に書かれてあります。
美しい情景が目に浮かぶような見事な文章で、しかもミステリー風なので、興味も尽きず、さらりと読めてしまいました。
当時のヴェネチアの貴族の生活や、風景も生き生きとしていて、楽しかったですね〜。

そして、ラストには、驚くような結末まで待ち受けていたのでした・・・。
もう、たまらないですね〜。お薦めの一作です。

この著者には、芸術家三部作として、他に「ファウスティーナのキス」「ドン・ファンの夜」という作品もあるそうですが、ネットで探しても見あたりません。まだ、邦訳されてないのでしょうか。是非是非読みたいですね〜。それぞれが、ゲーテ、そして、モーツァルトを主人公とした小説らしいので、期待がふくらみます。翻訳者の鈴木久仁子様、是非、邦訳お願いします〜〜(^^)。 (2005.12.01)