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「震度0」
横山秀夫
大震災の朝、一人の県警幹部が失踪した。
蒸発か?事件か?錯綜する思惑と利害、保身と野心、
激しい内部抗争を背景に、N県警幹部6人の”密室劇”の幕が開く・・・
警察小説はここまで進化した!(帯より)
この本は、苦労させられましたーーー(^^;。何がって、警察内の部署名と役職名と仕事の役割と、ついでに、主だった人の名前にです(^^;。
今まで横山さんの本は、5冊読んできたのだから、警察の話にも、そろそろ慣れてもいい頃なのに、本当に、情けないことですーーー(^^;。
本の最初に、簡単な人物説明が載っていたので、それを何回も見返しながらの読書となりました。
今まで、横山さんの警察小説読んで、想像はしていたものの、その仕事の大変さに頭が下がる思いをしてきました。
しかし、一方で、本当に、警察の内部って、こんななの?と、びっくりしたことも多々ありました。この本は、そういう警察の暗部を浮き彫りにした小説です。なかなか驚きの内容でした。確かに、警察官といえども人間で、出世欲、縄張り意識、女性関係など、いろいろなことがあっても当然なのですが、捜査によって得られた情報を、警察内部で、隠し合って、ちゃんとした捜査なんて、出来るわけ無いですよ。実際には、こんな酷いことはないのでしょうが、管轄違いによって、上手く連携できい広域事件もよく耳にするので、読んでいると、暗澹たる気持ちになってしまいます。
終盤まで、そんな警察内部のごたごたの連続で、醜い部分ばかり見せられて、正直、うんざりしてしまいました。
それに、阪神大震災に対する、彼らの態度も、許せないものがありました。やっぱり遠く離れていた人たちにとって、あの大災害は、人ごとだったんだなぁと、悲しくなります。
話は、ラストに、急転直下の展開を見せて驚かされますが、彼らの行う捜査ならば、こんな結果になるのもしょうがないし、その後の対処にも、背筋がゾクリとしてしまいました。
大地震はない方がもちろんいいのですが、腐った組織には、激震による改革が是非とも必要でしょう。 (2006.01.16)