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「明日の記憶」
荻原 浩  



記憶の死は、
肉体の死より
具体的な恐怖だった。 (新聞広告より)




昨年、韓国映画「私の頭の中の消しゴム」で若年性アルツハイマーが取り上げられて、大ヒットしましたが、この本も、同じ若年性アルツハイマーの物語です。
アルツハイマーの中でも、若年性アルツハイマーは、発症が60歳(もしくは65歳)以下の患者のことを指し、また、その発症は、ごく稀なのだそうです。
ごく稀と言われても、実際に患者さんはいるわけで、この本の中に出てくる詳しい病気の描写に、心が重くなりました。
誰にでも、物忘れは、普通にあることなのに、これからはそのたびにこの病気を疑いそうで、怖ろしいです。

ストーリーは、若年性アルツハイマーに罹った本人、佐伯の目で書かれてあります。
不眠のために病院に行った佐伯は、思いもしなかった若年性アルツハイマーの診断をうけて愕然とする。その診断名の怖ろしさと、担当医師への不信。
そして、信じられずにいた病名通りに自分の記憶が抜け落ちている事への恐怖心。
家族や、社内の人たちの目・・・。
やりきれないですねーーー。

そして、どうなるのだろうと、恐る恐る迎えたラストは、病気に救いがないことに変わりはないものの、温かい終わり方で、涙が一気に出てしまいました。
でも、辛すぎて、映画は見れそうにありませんねぇ・・・。(2006.04.16)