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「ネクロポリス」
上・下
恩田 陸
「お客さん」は、何処から来て、何処に往くのか?
あらゆる可能性が検証されるなか、アナザー・ヒルが変質しはじめる
証言する死者たち、地下への冒険、そして、ヒガンの行方はーー
めまぐるしく展開するエンターテイメントの新しい神髄! (帯より)
ちょっとばかり苦手なジャンル、ファンタジーの長編です。
ファンタジーが、どうして苦手かというと、その世界観に慣れるまで、時間がかかってしまうからなのでした。
この本も、実は、そのところが大変でした。
英国と、日本が融合した世界。人々の名前も、習慣も、考え方も、現実の世界と似ているようで、違う・・・。
しかも、物語の始まりは、「ヒガン」=「彼岸」なのです。
そんなわけで、この世界になじむまで、たっぷり上巻の半分ぐらいまでかかってしまいました(^^;。
しかし、一旦、物語の中に入り込んでしまうと、目が離せなくなりました。
たくさんの謎と、不可解な出来事が、次々と主人公ジュンに襲いかかってきます。いったいぜんたい、この物語は収束することがあるのか?果たしてそれは、どうやって・・・?!
あまりにも物語に入り込んでしまったので、著者が恩田陸さんだと言うことも、すっかり忘れてしまいました。
実は、ファンタジーが苦手な理由は、もう一つあって、それは、作者が作り上げた、何でもアリの世界が広がっていて、それがどうにもこうにも受け入れられないことがあるのですが、そこも、大丈夫でした。
もしかすると、そんな世界が、あるかもしれないと思わせてくれるような、魔法の粉を、恩田陸という作家さんにかけられたのかもしれませんね。 (2006.05.04)