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「犬は勘定に入れません
あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
」
コニー・ウィリス (訳= 大森 望)
ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説『ボーとの三人男』にオマージュをささげつつ、SFと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説。 (帯より)
500ページを超える二段組の本で、相当ずっしりしています(^^;。しかも、他の本と平行して読んでいたので、なんと読み終えるのに2ヶ月ぐらいかかってしまいました(^^;。
しかし、決して面白くないわけではないのです。それどころか、後半は、込み入った話が、収束する方向へと向かうので、ワクワクドキドキしながら読みました(^^)。
ただ、最初のうちは、全く話が見えなくて、??と思いつつ読むことになります。
私は、ヴィクトリア朝の英国の風習に戸惑い、また、この物語の中心(諸悪の根源?)とも言える、「主教の鳥株」が、どんなものか想像できず、まったく困り果てました。
時は2050年代。タイムトラベルの研究が進み、色々に利用されるようになった時代の話です。
読み始めた頃に、ちょうど
「サウンド・オブ・サンダー」
という、タイムトラベルの映画を見たので、それと比較をしながら読むことができたのも、面白かったです。
両方とも時代は、ほぼ同じ。それなのに、映画の方は、時間に関してものすごく几帳面な設定なのに対して、この本の世界は、すごくおおざっぱ。少々のことをしても・・・と言うか、すごく大胆なこともアリ・・・それは連続体(時間の流れ?)が自己修復するということになっています。
しかし、あまりにひどい違いが起こったときには、「齟齬(そご)」が生じ、連続体が崩壊してしまう・・・。
実際、この本の中では、危うく、歴史が変わってしまうところでした。
主人公、オックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリーは、同学生のヴェリティが過去から連れてきてしまったネコによって起こった齟齬を調整するために、ヴィクトリア朝英国へとトラベルし、齟齬をなくそうと、四苦八苦するのです。おまけに、レディ・シュラプネルの呪縛にも、対処しようと、必死に時代を行ったり来たりするのです。
この筋書きが、最初全く分からないので、大いに戸惑ってしまったのですが、一旦それを理解すると、これが非常に面白い!
タイムトラベルだけの物語ではなく、齟齬を直すために、人のロマンスの世話を焼いたり、失われた花瓶を探したり、過去に行ったり未来に帰ったり、もう、大変なのです。
有名な推理小説の引用も出てきたり、とても楽しめる内容となっていますが、何しろ大作なので、しっかり腰を据えて、読むことをお薦めします。
さて、この奇妙な題名は、あまり本の内容には関係がありません。詳しくは、本の解説をお読みください〜(^^)。(2006.05.04)