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「あなたに不利な証拠として」
ローリー・リン・ドラモンド (訳=駒月雅子)  




アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短編賞受賞 警官を志望する若きキャシーがマージョリーと出会ったとき、彼女の胸にはステーキナイフが深々と突き刺さっていた。何ものかが彼女を刺し、レイプしたのだ。怯え、傷ついた彼女を慰めるキャシー。だが捜査を担当したロビロ刑事は、事件を彼女の自作自演と断じる。マージョリーに友情めいた気持ちを抱いていたキャシーだったが、どうすることも出来なかった。それから六年後、キャシーとマージョリー、そしてロビロの運命が再び交わるまでは・・・MWA賞最優秀短編賞受賞の「傷痕」をはじめ、男社会の警察機構で生きる女性たちを描く十編を収録 (裏表紙より)


アメリカの女性警察官の物語です。作者自身も女性警察官だっただけに、内容はとてもリアルで、銃社会における警察官の厳しい任務に、改めて目を開かされた感じがしました。しかも、30人に2人ぐらいの割合でしかいない女性警察官。男社会で、男と対等に仕事する彼女たちの果敢さに、頭が下がります。

映画を見ていると、女性警官がよく出てきます。実は、私は、彼女たちが大好きで、女性警官が登場すると、とてもうれしくなってしまいます。勇気があって、凛々しくて、私の理想です。特に、女性警察署長なんて、ほんと、尊敬しちゃいますよ〜(^^)。
ちなみに、記憶に残っている女性警察官が出てくる映画は、「ファーゴ」「エンジェル・アイズ」「コールド・クリーク」「44ミニッツ」「プロフェシー」などです。

この本は、10編の短編から構成されていますが、そのうちの「傷痕」という作品で、MWA賞最優秀短編賞を受賞したそうです。
内容は、伝説となった女性警官キャサリン、交通事故で職を辞したリズ、同じ警察官である父親の暴力に耐えてきたモナ、被害者サービス員から警官になったキャシー、突然仕事を投げ出して逃げ出したサラ。この5人の女性警察官の物語です。

それぞれの章の中で、警察官が実際に事件に遭遇したときの状況はもちろん、その時に感じた、彼女たちの五感がリアルに描かれているので、読んでいるとまるで彼女たちと現場にいるかのように、ドキドキしてしまいました。
また、不幸にして、死体と遭遇したときの対処の仕方や、その後のしつこくまとわりつく死臭の対処の仕方。
女性警官特有の、煩わしいことどもや、家庭との折り合い等々。興味ある話が続きます。

原題は「ANYTHING YOU SAY CAN AND WILL BE USED AGAINST YOU」。これは、アメリカの警察官が犯人逮捕の際に、犯人に告知することを義務づけられている「ミランダ警告」=「あなたには黙秘する権利がある。あなたの発言は法廷で不利な証拠として扱われる可能性がある」の一部で、邦題は、またその一部を抜粋したものです。
これは、訳者あとがきに説明が書いてありました。(2006.05.17)