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「魂萌え!」
桐野夏生
とことん行きなさい。
夫の急死後、世間という荒波を漂流する主婦・敏子。
60歳を前にして、惑う心は何処へ?
ささやかな〈日常〉の中に豊饒な世界を描き出した桐野夏生の新たな代表作。 (帯より)
著者名と題名だけの情報で、読み始めたので、何となく、ホラーかな〜〜って思っていましたが、全然違っていました(^^;。
これは、初老女性の生き様(いきざま)を描いた本です。
夫と共に人生を歩んできた専業主婦の敏子。
そんな彼女が、思いもよらぬ夫の急死によって、様々な困難に立ち向かう姿を描いています。
30年以上、共に暮らしていた夫。それはもう、まさに空気のような存在でしょう。
でも、その空気には、実は、違う匂いもあったと言うことが分かったり、子供達との確執。友人との違和感。などなど、女性の私には、身につまされる話題が多かったです。
一緒に暮らしている人に、自分の全く知らない顔があったなんて、想像しがたいですよねーーー。
ただ、私には、敏子が、あまりにも優柔不断で、お人好しなので、イライラさせられることが多かったです。
自分のことだけでも、いっぱいいっぱいなのに、どうして、人のやっかい事にまで自らを巻き込んでしまうのか、理解できません。まあ、英子のような人にも困ってしまいますけどね。
とはいえ、親元を離れた子供との関係や、高校時代からの友達との微妙な関係は、分かるような気がします。
やはり、年を取れば取るほど、自分の生活パターンや、考え方が確立してくるでしょうし、片や、子供には子供の人生があるわけで、衝突するのは当たり前です。また、自分自身も学生時代のように何でも、ワイワイガヤガヤしているだけで楽しいというものでもないのでしょう。
そういうことを考えると、年を重ねるということに、うっとうしさを感じてしまいます。
ただ、悪いことばかりではないはずです。若い頃には、とうてい考え得なかった厚かましさや、心の余裕がきっとできてきて、それまで楽しめなかったことでも、楽しくなるかもしれません。こんな風に、なるべく、いいことばかりを想像して、明るい気持ちで、年を重ねていきたいものですね〜。 (2006.06.16)