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「魔王」
伊坂幸太郎  


未来にあるのは、
青空なのか、荒野なのか。
世の中の流れに立ち向かおうとした、兄弟の物語。 (帯より)


本当に、この頃は、世の中、間違った方向へと進んでいるような気がして、怖いです。
それを、ひとつひとつあげていったらきりがないほどで、しかも、それぞれの根が深いことが、また怖ろしい。
そんな、モヤモヤした時代に、なんでもすっきり片を付けてくれそうな、カリスマ的な政治家が出てきたら・・・。
強い指導力を求めている、そんな時、一気に新しい風が吹くのかもしれません。
そして、それがファシズムへと繋がってゆく・・・。そんなこともあるかもしれません。
あとがきには、ファシズムや憲法がテーマではないけれど、小道具や飾りでもないと書いてありました。

テーマは、自分で考えること。でしょうか。大量の情報の中から真に大切なことだけをピックアップして、自分の頭で考えること。
時には、外からの情報をシャットアウトして、自分の感性で生きてみることも必要かもしれません。
そして、自分が感じたこと、考えたことを口に出してみる。と言うことも重要なのかも。

本作には、両親を幼い頃になくした兄弟が出てきます。
「魔王」では兄が、「呼吸」では弟がある超能力を発揮します。
そういう力って、どことなく不穏で、幸せとか、安泰とかとは離れたところにあるものという気がして、何となく、心がざわざわしてしまいます。 (2006.06.22)