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「終末のフール」
伊坂幸太郎
この命をあきらめない。
生きる道のあるかぎり。 (帯より)
あと3年で、地球に小惑星がぶつかって、壊滅的被害をもたらす、かもしれないという仙台のある町の出来事です。
なまじ科学が進歩してしまっているので、5年前には、この大事件が予測されてしまっているわけで、それは、人間にとっては、ちょっとやっかいなことですねぇ。
8年という長さがとても微妙で、8年後の自分の姿が容易に想像できるところが残酷です。
そういうわけで、世の中は、過去5年の間、自暴自棄になり、治安は乱れ、生活もおぼつかなくなってしまったわけです。
惑星が衝突するまでの8年の間に、「アルマゲドン」のような解決法が見つからなかったらしいのは、やっぱりという感じですね。そう上手くは、映画のようにはならないということか(^^)。
それならば、そんな事実、全く知らせないか、知らせるとしても、3日前とかに知らせて欲しいかなという気もします。
本編は、8つの小編から成り立っています。凝り性の伊坂さんらしく、題名が凝りに凝っていて、中には、無理矢理?っていう題名もあって面白かったです(^^)。
残された3年間をどう過ごすか。それまでの5年間を何とか生き延びてきた登場人物たちの生き方は、それぞれですが、揃って、ポジティブで落ち着いてゆくのが、いいですね〜。
伊坂さんの小説の特徴である、軽妙な会話が、この作品にもたくさん出てきて、思わず、ニヤリとしてしまうところがありました。
私なら、たくさん食料を買い込んで、本とDVDに埋もれて、今までと同じように楽しく生きられるような気がします。
さて、あなたなら、こんな状況に置かれたとき、どう生きますか?? (2006.10.23)