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「緋色の迷宮」
トーマス・H・クック
近所に住む8歳の少女が失踪し、ひょっとすると自分の息子が誘拐しいたずらして殺したのかもしれないという不安。自分の兄もそういう性向を持ち、事件に関わっているかもしれないという疑念ーーー自分をつくった家族と自分がつくった家族。確固たる存在だと信じていた二つの世界が徐々に崩れはじめるとき、どうすればいいのか。 (裏表紙より)
人を信じることは、難しいのかもしれません。たとえそれが、自分の家族であっても・・・。
先日、身内の法要で、「信じる」事について、お坊さんがお話くださいました。
信じるということは、無垢の心であると。本当に信じていたら、信じているということさえ、忘れてしまうのだということ。自分が、「信じている」と認識していること自体、どこかに不信の心があるのだというのです。確かに、そうかもしれません。
この本の主人公であるエリックは、息子を妻を兄を父を母を「信じている」はずだったのに、実は、全く信用していなかったのです。その本質に自分は、気がつかず、「信じられない」ことを証明するために、周りを不幸にしている様な気がします。
悲しい本ですねぇ。
出だしは、ややこしくて、ちょっと読み辛かったですが、実際のストーリーが始まると、一気に読んでしまいました。
家族を信じることが出来なくなった男の悲しい物語です。
なんだかやりきれないネガティブな話なのですが、逆に、人を信じることの大切さを心に刻むための本なのかもしれません。 (2007.01.20)