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「ミステリアスセッティング」
阿部和重
極限の純真小説
少女の悲痛な歌声が、奇跡を起こすーー (帯より)
携帯電話の電子書籍サイトに配信された小説です。
読んでいるうちにどうしようもなく、イライラしてくる本でした。
それは、主人公の女の子、シオリの何とも、頼りなく、情けない風情。そして、そのシオリを蔑み、いたぶり続ける妹のノゾミのいやらしさ。それらが延々と続くからでしょうか。この二人の会話を読んでいるだけで、本当に沸々と怒りがわいてきてしまいました。
ひどい音痴のシオリ。鳥たちの反応。あれはいったい、何だったのでしょう。
高校を卒業して、家から離れた後も、人のいいシオリは、人に騙され続けます。あぁ、なんて事でしょう。
そんな彼女が、ますますじれったいのです。
そして、ラスト、またまた、シオリは騙されたのか、と思っていたら・・・。
実は、彼女たちは、あるおじいさんの語る物語の中の少女として登場するのですが、あまりにもこの話が長いので、途中で、すっかりそんなこと忘れていました。
このエンディングだけは、ちょっと良かったかな。
「2011年の『マッチ売りの少女』」と謳っていますが、残念ながら、私には、全く共感も何も出来ませんでした。
そういえば、著者の芥川賞作品「グランド・フィナーレ」をまだ読んでなかったわ〜〜。 (2007.02.27)