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「四度目の氷河期」
  荻原 浩





人生を語るには、早すぎるなんて言わせない。ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった。「自分」を生きるため、本当に大切なことって何?『明日の記憶』の著者が描く、今ここにいることの奇跡。感動青春大作。17歳の哀しみと温もりが、いま鮮やかに甦る。 (「BOOK」データベースより)



実は、題名と内容とから、最初の三分の一ぐらいまでは、本当に四度目の氷河期が来て、クロマニヨン人の彼が活躍する物語なのかと思いながら読み進みました。そういう話好きですから(^^)。
でも、実は、これは、”普通”という一般のボーダーからちょっと外れた少年の成長物語でした。

ちょっとみんなと違うだけで、孤独に生きなければならなかった少年。その孤独を少しでも癒すために、少年が考え出したことは・・・。
子供の時って、自分と人とを比べたがり、その小さな違いから、自分を特別に感じてしまいがちですよね。彼の場合、それが、彼の生活全てだったのでした。

成長するにつれて、真実が見えるようになったワタル。彼を支える女の子も可愛いです。お母さんとの別れのあたりは、だいぶ泣かされました。
でも、強くたくましく育ってきた彼に、未来は明るいことでしょう。そう望みます。

後半は、どんどん普通の男の子の話になってしまうので、尻すぼみ感がありました。ラストも、ちょっと意味不明気味で、残念。あの冒険が、彼の氷河期体験って事でしょうか。 (2007.05.17)