「大きな熊が来る前に、おやすみ。」
島本理生
私と彼の中にある、確かなもので、
悲しみを越えて行こうーー
新しい恋を始めた3人の女性を主人公に、
人を好きになること、誰かと暮らすことの、危うさと幸福感を
みずみずしく描き上げる感動の小説集。
(帯より)
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恋にちょっと不器用な女性を描く3編。
「大きな熊が来る前に、おやすみ。」
子供の頃に受けたトラウマ。それが、再現されるかもしれない恐怖。
どんなに幸せなときでも、一度受けた心の傷は、何かの拍子に一瞬にしてその傷口を開いてしまう・・・。
私には、そういう経験は、ないけれど、彼女の気持ち、分かるような気がしました。
「クロコダイルの午睡」
理解しようとしても、一生理解できない事ってあるのかもしれません。
それは、誰が悪いわけでもなく、そうした違いは、厳然として、あるのでしょう。
そして、些細なことで、殺意を抱くほどの憎しみを感じることも、きっとあるのだと思います。
「猫と君のとなり」
過去からの脱却。
ひょんな事で恋は始まり、そして、過去の出来事に別れを告げる日が来る。幸せに身をゆだねるのも、ちょっとした勇気がいるのかもしれません。
表題作と、「クロコダイル〜」が、とても印象的でした。
題名も、表紙の絵も、可愛いですが、内容は、ちょっとばかり重たかったです。
でも、印象的で、なかなかいい作品でした。
(2007.06.20)
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