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「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
  リリー・フランキー


読みやすさ、ユーモア、強烈な感動! 同時代の我らが天才リリー・フランキーが骨身に沁みるように綴る、母と子、父と子、友情。この普遍的な、そして、いま語りづらいことがまっすぐリアルに胸に届く、新たなる「国民的名作」。『en-taxi』連載、著者初の長編小説がついに単行本化。 (出版社 / 著者からの内容紹介より)


一時期、一世を風靡しましたね、この本。。
それならと、私も図書館に予約して1年。やっと順番が回ってきました(^^)。

これほど有名で、ドラマ、映画、舞台にもなったのに、どれも見ていないので、分からないのですが、これは、著者の私小説なのでしょうか。
泣ける・・・と聞いていたので、ベタなのかとも思っていましたが、意外と淡々と、主人公(著者本人?)のそれまでの歩みが語られています。
著者のリリー・フランキーさんのこともあまり知らないのですが、若いときは、ずいぶん、めちゃくちゃな生活を送ってきたんだなぁと思いつつ読みました。
それでも、いろいろなことに才能がある方らしく、生活が軌道に乗ってきて、苦労ばかりの母親を呼び寄せて、一緒に暮らせる時期があったことは、人ごとながらよかったと思いました。

そして、人は、生きてゆくことへの心配がなくなると、自分の周りを見回す余裕が出来てくるんですよね。すると、そこには、苦労をかけた母親の姿が・・・。
その頃から、主人公の母親への思いがひしひしと感じられるようになりました。
病気を得て、弱っていく母親を見守る彼の、悲しさ、寂しさ、そして恐怖。心に深く浸みました。

また、母親の、子を思う深い愛も、心に浸みました。母親の愛といっても、人それぞれ、千差万別。この親子の愛情は、母一人子一人と言うことで、より深いものだったように思えます。

それにしても、このお母さん、ずいぶんさばけた人だったみたいで、若い人にも慕われて、晩年は、本当に幸せそうでした。いろいろと苦労もされたようですが、それもみんなひっくるめて、いい人生を送られたと、思いますねぇ。
思わず、親孝行がしたくなる本でした。(2007.09.05)