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「吉原手引草」
松井今朝子
なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか? 遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。やがて隠されていた真実が少しずつ明らかになっていく……。吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作! (出版社 / 著者からの内容紹介より)
第137回直木賞受賞作です。
江戸吉原の郭(くるわ)を描いた作品で、花魁(おいらん)葛城の謎に迫ります。
時代小説は、苦手な範疇なのですが、映画
「さくらん」
でも描かれた世界でもあり、豪華絢爛でありながら、悲しく辛い女の世界の内幕を描いたこの作品は、とても面白かったです。
いったい、花形花魁葛城に何があったのか。
それは、いろいろな人の証言により、徐々に明らかになってゆきます。
何か大変なことがあったらしいのは分かるのですが、皆、そのことについては口が重く、なかなか真相が浮かび上がってきません。まるで探偵が、事の真相を知ろうと、いろいろな人の証言を聞き回っているようなこの手法、面白かったです(^^)。
また、当時の吉原のマナーも、丁寧に語られていて、選ばれた人のための高級な遊び場という吉原の姿がよく見えてきました。当時、この吉原以上の、贅沢な遊びは、そうなかったでしょうねぇ。しかも、お金をばらまけばそれだけでちやほやされるというわけでなく、その人の身分だけでなく、品格なども取りざたされるこの遊びは、結構スリリングだったのかもしれません。
ただ、時代物だけに、使われている漢字が難しくて、読めないままの字もあったりして、ちょっと大変でした(^^)。でも、字面から、だいたい意味は分かるので、なんとか読み進むことは出来ましたが・・・。
ラストの方は、少々駆け足気味で、あっさりと謎解きされてしまいましたが、それでも十分面白かったです(^^)。 (2007.10.12)