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「映画篇」
  金城一紀


現実よ、
物語の力に
ひれ伏せ。
金城一紀の最高傑作
今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった、完全無欠のエンターテイメント! (帯より)



これはびっくり、まさに、帯の紹介文に書かれたとおりの小説でした(^^)。
本の中に出てくる映画が見たくなり、人にこの本を薦めたくなり、ほのぼのとした感動につつまれた作品です。

最初は、題名から、映画の紹介本かなと思って手に取ったのですが、出てくる映画は、思っていたよりも、少なく、その点で、最初は、がっかりしたのですが、その分、内容は濃かったです。出てくる映画は、誰でも知っている映画が、締めに出てくるので、とても共感できると思います。そして、また見たくなること必定です(^^)。

・「太陽がいっぱい」映画好きの友達との思い出と、別れ、そして再会。
・「ドラゴン怒りの鉄拳」夫に突然自殺され、世間との繋がりを絶った主婦の再生。
・「恋のためらい フランキーとジョニー もしくはトゥルー・ロマンス」クラスからちょっと浮いていた二人の高校生。彼は彼女を守りたかった・・・。
・「ペイルライダー」かっこいいおばちゃんライダーの秘密とは・・・。
・「愛の泉」連れあいを亡くしたおばあちゃんを元気づけようと奮闘する孫たち。

ラストにすべての話がリンクしているので、読み終わってから、もう1度読み返してしまいました。そして、なんともいえない温かい思いに包まれました(^^)。
ラストの「愛の泉」に出てくる孫たちのキャラが、面白くて、ニヤニヤ笑ってしまいました。このキャラは、今までの金城さんの本にもよく登場する、ちょっとドジだけど、明るくて、心の優しい、いいヤツなんです。そんな彼の奮闘によって、面白くて泣ける素敵な小説になっていました。

読んだ後は、もちろん、「ローマの休日」を、見返したくなりました。あと、「太陽がいっぱい」も。「恋のためらい」と「トゥルー・ロマンス」は、あまりいい印象がなかったのですが、これも、もう1度見てみようかな。「ペイルライダー」と、「愛の泉」は、全く知らない映画ですが、これも、機会があったら見てみましょう(^^)。

一つ気になったのは、中に出てくるつまらない映画の代表「金持ちの主婦が労働者階級の青年と不倫する映画」これって、いったいどの映画をさしているんでしょうかね〜〜?(^^)。 (2007.10.17)