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「楽園」上・下
  宮部みゆき


「模倣犯」から9年ーーー前畑滋子
再び事件の渦中に!
自宅の床下で16年間
眠り続けた少女の死体。
その死体を”透視”した少年の交通事故死。
親と子をめぐる謎に満ちた物語が
幕を開けるーーー (帯より)


さすが宮部さん、上下2巻の大作でも、すらすらと読めてしまいました。
事故で亡くなった少年の不思議な能力から話は派生して、家族の悲しい物語が、いくつか描かれています。
この事件を追うのは、「模倣犯」の事件から9年経った前畑滋子。

「模倣犯」・・・6年半前に読んだのですが、見事に内容を忘れていました(^^;。ということで、あらすじを読んだり、自分の感想を読んだ(これが参考にならないんだ、全く・・・(^^;)りして、思い出したのですが・・・。でも、あの事件には、直接関係はなかったですね(^^)。ただ、あの事件を未だに引きずる滋子、そして、忘れない世間によって、その話題が、何度も出てきます。おかげで、再読したくなりました。

物語を、読み進むにつれて、様々な人間関係が現れてきて、ともすれば、おおもとの話・・・少年の能力・・・とは、離れていきそうになるのですが、そこは、少年の母親、敏子を参加させることによって、その都度、引き戻してくれました。
家族とは、何なのか、何が大切なのか、そして、どうすべきだったのか。考えさせられる話も出てきます。
こういう話を読んでいると、大過なく、過ごせることのありがたみを感じますねぇ。

少年が透視した人物の記憶が、少々弱いような気がしましたが、それだけ強烈な思いが発せられていたということでしょうか。 (2008,01,31)