「アンダーリポート」 　　佐藤正午 １５年前―。 駐車場に横たわる撲殺死体。 第一発見者である古堀の隣室に住む男だった。 事件当時４歳だった被害者の娘との再会が、古堀の古い記憶を揺さぶり始める―。 １５年前に起きたある殺人事件。その第一発見者として関わりを持ってしまった主人公小堀は、被害者の娘と再会したことから、事件の真相を探り始めるが・・・。 主人公が、検察に勤める国家公務員ということで、文章や考え方が堅く、最初はちょっと読みにくかったですが、読み進むにつれて、彼の思考回路がよく分かるようになりました。 そして、彼の１５年前の彼女も、なんだかとってもいやな女性でした。でも、女性って、感性が鋭いから、男性から見たときに、こんな風に見られているのかもしれませんねぇ。 とにかく小堀は、若いときも、１５年後も、美由紀の叔母が言ったように「血の巡りが悪い」＝「頭はいいが、鈍感」でした。 もう済んでしまったこと、終わってしまったことでも、真相を知らずにはいられない男。 時効が成立したこの時に、彼女は、いったいどういう行動に出るのでしょう・・・。 彼がたどり着いた結論が、冒頭にあるので、最後まで読んで、また最初を読み返さずにはいられない小説です。 (2008,02,07)