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「アサッテの人」
  諏訪哲史


芥川賞第137回、群像新人賞第50回、ダブル受賞!
村上龍以来、約30年ぶりの快挙!
驚異の新人出現! (帯より)


すごい本でした。
なにしろ、最初から、読みにくくて、どうしようかと途方に暮れました(^^;。
意味を理解しようと頑張っても、なかなか頭に入ってきません。
でも、そういう読み方自体が、この本には、似合っていないことだったのかもしれません。

内容は、失踪した叔父の家を片付けに行った「私」が、叔父との思い出や、彼の日記を元にして、叔父の小説を書こうとするという話です。

その草稿から、徐々に、叔父という人物が描き出されます。
吃音だったことから、言葉に対する考察が深く進行していった彼は、その定型性に反旗を翻そうとするうちに、生活自体の定型性をも否定し始めます。

何しろ、不可解な人物なのですが、一つ一つ説明されてゆくと、ちょっとした親近感がわいたり、彼の心理状態に近づいてしまったり。これは、危険な兆候かも?!

特に、面白かったのは、吃音の悩みと、エレベーターのチューリップ男。
読み進むうちに、はまってしまいそうでした。
そして、ラストの☆追記。ここまで来ると、それはそれは、とっても楽しくなってしまうのでした。

そして、どうしても、この言葉を言いたくなります。ポンパ! (2008,02,28)