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「カツラ美容室別室」
山崎ナオコーラ  


こんな感じは、恋の始まりに似ている。
しかし、きっと、実際は違う。
カツラをかぶる店長・桂孝蔵の美容院を舞台に
淳之介とエリ、梅田さんたちの交流を描く各紙絶賛の最新作 (帯より)



カツラをしている店長が経営する美容室、カツラ美容室別室。ここに集まる人々を描いた作品です。
美容室のそばに引っ越してきた淳之介を中心に、彼の先輩や、美容室の人々との繋がりや、彼らの思いが綴られています。

帯には、「各紙絶賛」と書かれていましたが、残念ながら私は、いったいこの小説のどこが面白いの?!と、思いつつ、ついに最後までその思いを覆すことなく終わってしまった作品です。

登場人物の誰の心情にも、深入りせずに描かれたこの作品には、とうとう誰一人として感情移入できず終いでした。

題名であるカツラ美容室の店長、桂さんが、カツラであることも、サラリとしか触れられず、大阪人の私としては、もっとつっこんでよ!と、不満でなりません(^^)。

山崎さんの作品としては、初めて読む小説でしたが、「人のセックスを笑うな」は映画化され、朝日新聞に連載されていたエッセー「指先からソーダ」は面白くて、ずっと読んでいただけに、なんだかこの作品は、消化不良に終わってしまいました。 (2008,04,22)