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「切羽へ」
井上荒野  



彼に惹かれてゆく、 夫を愛しているのにーー 廃墟の多く残る 静かな島を舞台に描く、 美しい切なさに満ちた 長編恋愛小説。 (帯より)



今期(第139回)の直木賞受賞作です。

井上さんの作品は、先日「ベーコン」という短編を読んで、好印象だったので、期待してました。

今回は、長編恋愛小説ということで、へぇ〜〜と思いました。しかも帯には、上↑のようなことが書かれていて・・・(^^;。
でも、読んでみると、帯の言葉とは、ちょっとイメージが違いましたねぇ。
もっと淡い、心の奥底の感情を描いた作品でした。
注意深く読んでいかないと、主人公の心の動きを見失ってしまいそう。そんな感じ。

いったい、石和とは、何者だったんだろう・・・?

でも、石和にどうしようもなく惹かれてしまう主人公の気持ちも、何となく分かります。
夫ともうまくいっているのに、運命の出会いっていうものがあるのは、ある意味仕方がないことかも。

「切羽」・・・それ以上先へは進めない場所。
彼と切羽に行った後は、突き抜けるか、戻ってくるか、どちらかしかない。

そんな彼女をそのままに、大きく包み込むのが夫なのでしょう。
彼女は、幸せだわね。 (2008,08,01)