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「窓の魚」
西加奈子  


誰も、本当のあたしを知らない
秋のある日、二組のカップルが山の温泉へ向かう。
一緒にいるのに遠い四人にまとわりつく、猫の鳴き声と不穏な影。
裸になっても笑いあっていても、決して交わらない想い
『さくら』『きいろいゾウ』の西加奈子が贈る、
じんじんと心に染みる物語 (帯より)



若い男女4人が温泉旅行に行く話です。
そう聞くと、楽しそうな様子を思い浮かべますが、この4人には、そんな浮かれた様子は、全くありませんでした。
それぞれがそれぞれの思いの中に深く沈んでいるような感じ。

ストーリーは、春夏秋冬を思わせる名前を持つ彼ら一人一人の章に分かれて、それぞれの心情を吐露してゆきます。そうすることによって、徐々に、4人の姿がはっきりと見えてくるのでした。

こうしてみてみると、人の心の中は、他人には、計り知れず、実生活でも、実際は、こんな感じなのに、それを押し隠して生きているのかな〜と、なんだか心は重くなりました。それが、本当なんでしょうけど・・・。

この旅行に絡んで、一つの事件も起こります。そして、得体の知れない猫の鳴き声・・・。
これらを交えて、どういう風にストーリーが発展してゆくのかなと、ちょっと期待したのですが、話が広がるわけではなく、閉じた円の中での物語に終始しました。 (2008,08,11)