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「警官の血」上・下
佐々木譲  



汝の父を敬え――制服の誇り、悲劇の殉職。警察官三代を描く、警察小説の最高峰誕生!
昭和二十三年、上野署の巡査となった安城清二。管内で発生した男娼殺害事件と国鉄職員殺害事件に疑念を抱いた清二は、跨線橋から不審な転落死を遂げた。父と同じ道を志した息子民雄も、凶弾に倒れ殉職。父と祖父をめぐる謎は、本庁遊軍刑事となった三代目和也にゆだねられる……。戦後闇市から現代まで、人々の息づかいと時代のうねりを甦らせて描く警察小説の傑作。 (出版社 / 著者からの内容紹介より)



警察小説は、今までも、横山秀夫さんなどで読んだことはありますが、少々取っつきにくい感は否めません。
でもこの本は、「このミステリーがすごい!」で2008年版のベストテン1位、さらに直木賞候補にもなったこともあり、やはり読まずにはいられませんでした。

上下巻もので、まさに読み応えのある物語です。途中こそ、どうして、こんなに事細かく描かれているんだろうと思うこともあるのですが、それがしっかり後々に繋がってゆくところが見事。
三代にわたる警官家系の男達の物語で、それぞれに盛り上がりがある上に、ひとつの謎が三世代を通して繋がってゆくこともあり、重量感たっぷりの本でした。そのわりに読みにくくはなく、すらすらと面白く読めたのは、さすがに警察本を数多く手がけてきたという著者の力量です。

それにしても駐在さんの生活、大変ですねーーー。一応非番の日があるにしても、24時間、どんなときも気が抜けない仕事です。まあ、普段は穏やかな町だからこそやっていけるのでしょうけれど、一度事が起きたら、人の命にも関わるかもしれないわけで、責任重大。一緒に住む家族、特に妻の役割も大きくて、大変です。
その他、潜入捜査や、暴力団との関わりなど、普通はなかなか知り得ないことが、細かく書かれてあって、とても面白かったです。

しっかりした本をじっくりと味わいたい人に、超おすすめの本です(^^)。 (2008,09,23)