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「乳と卵」
川上未映子


姉とその娘が大阪からやってきた。三十九歳の姉は豊胸手術を目論んでいる。姪は言葉を発しない。そして三人の不可思議な夏の三日間が過ぎてゆく。第138回芥川賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)



去年の芥川賞受賞作です。やっと読めました。
といっても、読みたい〜!と、熱望していたわけではありません。だって、芥川賞=純文学・・・苦手です、実際・・・(^^;。受賞した作品を読んで、これはいい!と感動した作品って、今まで、無いんじゃないかしら・・・(^^;。まあ、俗物ですからねぇ、私(^^)。

この作品は、男性が読んで、果たして面白いのでしょうか、理解できるのでしょうか。
私は女性なので、最初、とぎれのない文章に面食らったものの、読んでいる内に、それぞれの登場人物の気持ちが、分かってくるような気がしました。

おっぱいに異常にこだわる39歳の女性。
胸が薄いということは、女性にとっては、どうしようも出来ないコンプレックスのひとつとなりうる問題です。
特に彼女のように、ほとんど何もないと言うことの悲しみは、他人には、うかがい知れないものがあるのかもしれません。一度突き抜けてしまえばいいんでしょうけどねぇ。
しかも、年齢が39歳、独身。ここで、もうひと華、と思ってしまう気持ちも分からないではありません。

そして、彼女の娘の緑子。
彼女の気持ちは、よく分かりませんでしたが、ラストのほとばしるような彼女の叫びに、なにやらかえってホッとしました。とても普通の悩みと葛藤を身体の中に閉じこめていたのですねぇ。
それが分かると、この文体にも慣れたことだし、この親子を応援してしまうのでありました。 (2009,01,09)