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「利休にたずねよ」
山本兼一



おのれの美学だけで天下人・秀吉と対峙した男・千利休の鮮烈なる恋、そして死。
(「BOOK」データベースより)



利休が秀吉から切腹を命ぜられ、命を絶たったのは天正19年(1591)2月28日。この日の利休の様子から始まるこの物語は、徐々に時代をさかのぼります。
時間を逆行させることで、利休が切腹を言い渡された経緯がよく分かり、利休をよく知らない私にとってもとても面白い小説になっていました。

元々時代小説は苦手で、出来れば避けて通りたい所なのですが、この作品は、今期、天童荒太の「悼む人」と共に、直木賞を受賞した作品なので、そうも言ってられません(^^)。

しかも、テーマは、利休。あまり興味のない人物だったので、面白く読めるかなぁと心配しながらの読書でした。でも、その心配とは裏腹に、とても面白く読んでしまいました。
利休を知らず、茶の湯も知らずの、そんな私でも、そうなのですから、普通の人が読んで面白くないわけがない・・・と思います。お奨めですよ(^^)。

今までの利休のイメージは、秀吉にかわいがられた茶人で、その権勢を誇り、利益をむさぼり、そして、結局は、秀吉に忌み嫌われて切腹した人・・・だったのですが、これを読むと、そういうイメージが、微妙に変わってきます。やはり、利休は、すごい人だったのですね〜〜!この本を読んで、とたんに利休ファンになってしまいました。
利休を描いた映画もありますが、今まで興味が無く見ていなかったのですが、今改めて見たくなりました(単純だね〜(^^))。

本書は、細かく章に分かれていて、各章、利休をはじめとする様々な人が登場して、それぞれの利休との関わりが語られます。
登場人物は、多彩で、秀吉、光成、家康の他、利休の妻や、瓦職人までいろいろ。
彼らの話を聞くうちに、利休の人となりがよく分かり、やはり、彼は、茶人として天才であったのだなぁと理解できるのです。

また、利休のことばかりでなく、お茶の話も、興味深かったです
お茶の道具や、茶室、そして、おもてなしの心。ためになりますね〜。
思わず、お薄が飲みたくなって、食器棚の奥に閉まってあった茶筅で、お茶を点ててしまいました(^^)。う〜ん、満足満足(^^)。 (2009,01,25)