「ブラザー・サン シスター・ムーン」
恩田陸
ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを――
本と映画と音楽……それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。
『夜のピクニック』から4年、恩田陸が贈る、青春小説の新たなスタンダードナンバー誕生!
(内容紹介より)
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高校の同級生3人が、同じ大学に入学して、それぞれの学生生活を送って・・・。という話です。
これが恩田さん?というような、恩田さんとしては、珍しいイメージの本で、さらりとした文体で、さらりと書かれています。
私は、こういう感じ、嫌いじゃありません。っていうか、とても好きです(^^)。
第一部は、綾音が語る「あいつと私」。
最初、これは、恩田さんの自叙伝か?!とか思ってしまいました(^^;。
そんな文学少女の話です。
「書くことは癖」と書いてあるのを見て、あぁ、恩田さんって、そうなのか〜って思いました。
そうでなければ、こんなに本を書けないでしょうからねぇ(^^)。
半村良の「妖星伝」も読んでみたくなりました(^^)。
第二部は、衛の「青い花」。
ジャズ研に入ってベースを弾く彼。
こういう事こそ、大学生の時しかできないことだし、大学生だから、出来ることなんでしょう。
第三部は、一の「陽のあたる場所」。
彼は、大学で、シネマ研究会に入り、今や映画監督として、時の人。
彼がかつての仲間のことを「女性的」と言いながら、「気まぐれで、感情的で、強烈な自尊心があるくせに非常に小心者で、とても嫉妬深い上に異常なほど猜疑心が強い」と書いているのを面白く読みました。やはり、人間観察が鋭い!(^^)。
いつもの物語色の濃い作品を期待していると、肩すかしかもしれませんが、こんな、昔の自分、それも、今の基礎となったような自分を思い出すような作品も、新鮮で良かったです。
それにしても、第二部の題名以外は、表題も含めて映画の題名なのですが、どれも見たことがなかったのが、ちょっと悲しかったです。もっとたくさん映画を見なくちゃ。ホラーなんて、見てる場合じゃないですね(^^)。
(2009,02,26)
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