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「誘拐児」
翔田寛


第54回江戸川乱歩賞受賞作
昭和21年、帰らなかった誘拐児。
悲劇はそこから始まったーーー。
緊迫の推理。
かつてなく切ないラスト。
圧倒的筆力で描く興奮、そして涙。 (帯より)



江戸川乱歩賞受賞作ですが、どちらかというと、松本清張風ですね。

戦後のどさくさの時代に起こった誘拐事件。
未解決のまま、15年がたち、そして、新たな殺人事件が起こった。
二つの事件には、関連があるのか?!

誘拐事件の出だしは、なかなか良かったのですが、どんどんややこしくなり、登場人物も多くなってきて、正直混乱してしまいました。
読み終わって、はて、これは、どういう事だったのかと、また、読み直してしまいました(^^;。
刑事同士の確執も、話をさらにややこしくしてしまっただけだし、それぞれの刑事のキャラも薄いので、この二組を競わせたのは、余分だったように思います。

ただ、じっくりとしたTVドラマに仕立て上げるなら、映像化も、いいかもしれません。
本では、あまり描き込まれなかった登場人物たちも、俳優が演じることで、命を吹き込まれる可能性が大きいと思います。

ただ、戦後のどさくさの時代で、心情が分かるところもあるとはいえ、彼女の行動を正当化させるのは変ですよね。 (2009,04,13)