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「犯罪小説家」
雫井脩介

新進作家、待居涼司の出世作「凍て鶴」に映画化の話が持ち上がった。監督に抜擢された人気脚本家の小野川充は「凍て鶴」に並々ならぬ興味を示し、この作品のヒロインには、かつて伝説的な自殺系サイト「落花の会」を運営していた木ノ瀬蓮美の影響が見られると、奇抜な持論を展開する。待居の戸惑いをよそに、さらに彼は、そのサイトに残された謎の解明が映画化のために必要だと言い、待居を自分のペースに引き込もうとしていく。そんな小野川に、待居は不気味さを感じ始め――。全篇に充ちた不穏な空気。好奇心と恐怖が交錯する傑作心理サスペンス! (出版社 / 著者からの内容紹介より)



面白かったです。
雫井脩介さんの作品は、割と好きで、この本で5冊目です。

文学賞を受賞した作家が、受賞作の映画化で紹介された人気脚本家。
脚本家は、彼の作品を、自殺サイトと執拗に結びつけようとする・・・。という話です。
だから、多くのページが、自殺サイトについて割かれているのですが、そのサイトの話に、結構興味をそそられました。
自殺する人や、自殺願望のある人の心理が、よく表されていると思いますし、サイトの主催者であるリリーの考え方も、共感できるものがありました。
でも、こういう話を頭から否定してしまう人には、合わない本かもしれませんね。

前半は、少々停滞気味ですが、面白くなるのは、後半です。
謎めいた自殺サイトの実態が見え始めると同時に、何が正しくて、何がおかしいのか。
そのあたりの境目が混沌としてきて、ギョッとさせられました。

それにしても、映画化の脚本を読んだときは、なんじゃこりゃーー!と、驚いてしまいました。
よく原作と映画は別物とは言いますが、同じ題名を付けるなら、原作を壊さないように映画化して欲しいですねぇ(^^)。まあ、原作者が、それでいいなら、いいんでしょうけれど・・・。 (2009,04,16)