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「ねたあとに」
長嶋有




大江賞作家の企みに気をつけろ!
この山荘は、
遊び始める前から
すでにルールが発生している。
真夏に炬燵。(コタツ?)
ケイバ、顔、
それはなんでしょう、軍人将棋・・・
魅惑的な日々の「遊び」が、
一夏の時間を彩ってゆく、
大人の青春文学。 (帯より)



朝日新聞に連載されていた小説です。

最初は、この小説の、いったいどこが面白いんだろう??と思いつつ読んでいました。
今に、何かが起こるのか??とも・・・(^^)。

でも、何も起こらないのです。いつまで経っても・・・(^^;。
そして、(何も起こらない)ということがわかると、逆に、腰を据えて、楽しむことが出来る本でした。

夏の間、山にある別荘に集まって過ごす人々を描いた作品です。
家は老朽化が進み、文化生活とは切り離され、そして、虫や動物と共に生きる場所。
そこでの楽しみは、下界とは、全く違う、その場所で、年々作り上げられてきた独自の”遊び”です。

ケイバ、顔、それはなんでしょう、軍人将棋・・・。
アナログだけど、工夫されたそれらの遊びは、結構魅力的。
人が人と遊ぶための”遊び”です。

巻頭に、別荘の間取りと、特徴が書かれていて、それを見ながら読むと、臨場感が増しました。

こんな感じの共同生活も、なんだか楽しそうかも。
でも、虫や、ネズミがいるところでの寝起きは無理かなぁ(^^;。

特別なことは、最後まで起こりませんでした。
でも、本当に、こんな別荘があって、夏毎に、こんな人たちが集まって、楽しそうなことをしている様な、存在感を感じる本でした。 (2009,05,05)