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「ディスカスの飼い方」
大崎善生


ディスカスを理解することは、
宇宙を理解することと同じだ。
熱帯魚の王様・ディスカスを精密に描き込み、
かつて幸せに出来なかった恋人を
追憶しながら愛の解答を導き出す、
ロマンチシズム溢れる恋愛小説の最高峰! (帯より)



熱帯魚の王様、ディスカス。
知ってます?
私、知りませんでした(^^;。
知る人ぞ知るお魚ちゃんなのでしょうけれど、私、やっぱり無知ですねーーー(^^;。

そんな私でも、この本は、面白かったです。
こんな題名ですが、実は、ディスカス飼育のHow to物ではありません。
まあ、8割方は、”ディスカスの飼い方”なんですけどね。
おかげで、私、とっても詳しくなっちゃいました、ディスカスの飼育法(^^)。
ただ、さすがに、飼おうかな〜とは思いませんでした。だって、ディスカスのための人生なんて、私には無理ですから。

人の趣味って、難しいですね。
好きで、ついついのめり込んでしまうのが趣味ですが、あまりにも突き詰めてしまうと、その人の人生そのものを浸食して、ついには、人生を変えてしまうかも。

この本の主人公も、デパートのペット売り場で、たまたま見たディスカスに、一瞬にして心を鷲づかみにされてしまったのでした。まるで女性に一目惚れしたかのように・・・。

本を読みながら、彼と一緒になって、ディスカスを育てているような気になってしまいました。心の片隅で、恋人が急にこんな事に熱中してしまったら、やっぱり悲しいだろうなと思いながら。

終盤の「魔の70時間」あたりでは、まるで、サスペンス映画を見ているようにハラハラドキドキさえしてしまいました。
そして、ラストは・・・。

ディスカスに熱中して、彼女を忘れてしまった彼のことを途中までは、半分苦々しく思っていたのですが、最後まで読むと、その気持も変わります。帯に書いてあった通り、”ロマンチシズム溢れる恋愛小説”だと思いました。

全く興味の無かったディスカスの飼い方をメインにしながら、読者をぐんぐん引きつけてしまう著者の筆力は、すばらしいです。 (2009,05,09)