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「無理」
奥田英朗
合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則―弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵―東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也―暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子―スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一―もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。 (「BOOK」データベースより)
奥田英朗さんの真骨頂ですね。
複数の登場人物を自在に動かして、
それぞれがドツボにはまってゆく様子を、軽快に、そして、痛々しく、描いています。
舞台は、どこにでもあるような、冴えない地方都市。
楽しいこともないし、生活も苦しく、ここから抜け出そうとしても、抜け出せない人々。
5人の人物に焦点を合わせて、それぞれのどん詰まりの生活を描きます。
どこにでもいるような人たちが、どんどん深みにはまっていくのは、見ていて辛いのですが、
人の不幸は、蜜の味・・・読む手を止めることが出来ませんーーー(^^)。
中でも、市役所のケースワーカーの仕事は、本当に、大変だなぁと思います。
大阪は、日本一生活保護世帯が多く、20世帯に1つの割りで、そうなのだそうで、
いつも、役所のそのコーナーは、一種独特の雰囲気なのだそうです。
こう不景気だと、なおさら申請者も多いだろうし、
悩み所ですねぇ。
ラストは、どうオチを付けるのかと思ったら、そうなりましたか・・・。
無理矢理な結末に進むより、あっけらかんとして、いいかも。
現代の世の中の様子がリアルに描かれていて、面白く読めました。
こんな感じに、5年おきぐらいに、その時々の話を織り交ぜてシリーズとして出したら、それなりに面白いかも(^^)。 (2010,04,14)