「空の中」
有川浩
200X年、二度の航空機事故が人類を眠れる秘密と接触させた。「変な生き物ゆうたわね?そやね?」―秘密を拾った子供たち。「お前を事故空域に連れて行く。話は現場を見てからだ」―秘密を探す大人たち。秘密に関わるすべての人が集ったその場所で、最後に救われるのは誰か。“電撃”が切り開く新境地。第10回電撃小説大賞大賞受賞作家・有川浩待望の第2作。 (「BOOK」データベースより)
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今や人気作家の有川さんですが、この作品は、初期の頃の作品で、デビュー作「塩の街」に続く第2作目です。
私は、順番をめちゃくちゃにして読んでしまっているのですが、
最初の頃の作品としても、「塩の街」同様、この作品も、とても完成度が高いですねぇ。
突然の航空機事故。
その原因は、ずっと昔から空に存在していた”もの”だった・・・!
なんて壮大で、なんて静かで、なんて深い話でしょう。
思いもしなかった事態が進んでゆく物語に、ずずっと引き込まれてゆきました。
世の中には、ちっぽけな人間が考えもしないようなことが、無数に存在するのかも知れない・・・。
そんな空想が広がってゆきます。
そして、被害にあった人の家族や、親しい人の、悲しみや悔しさや怒りが、いろいろな方向から描かれています。
”白鯨”もしくは”フェイク”と後に呼ばれるようになる彼、もしくは彼らの、たどたどしい意思表示や会話も、とても可愛かったです(^^)。
こういう、人間にとって未知なる物の描き方は、色々あるでしょうが、
この作品のそれは、本来とても穏やかで、従順で、良心的な存在で、ほっと出来ました。
この場合、解離性同一性障害の治療法は、どうなんだ?!とは、ちらっと思いましたが、ユニークで、面白かったかも。ちょっとややこしかったけど(^^)。
あとがきを読むと、この作品には、有川さんの好きな物がたくさん詰まっているそうです。
なるほど、怪獣?も、空自も、ロマンスも、飛行機もありました。
それにしても、有川さんの作品に出てくる男女のパターンは、いっつも一緒ですね〜。
とてもほほえましいんだけど、ちょっと飽きたかも(^^)。
でも、次は、「海の底」を読もうっと!(^^)。
(2011,01,12)
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