「三千枚の金貨」
宮本輝
どこかに金貨が埋められている。桜の木の下だという。働き盛りの男三人と彼らより一回り年下の女性が手を結んだ。その金貨が語る膨大な物語とは。 (「BOOK」データベースより)
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いろいろな要素を詰め込んだ大人の物語でした。
一つ一つの要素で、それぞれの小説が生まれそうなぐらいの濃い内容。
さすがに、冒頭の”痔瘻”の話では、難しいかもしれないけれど、
それでも、その話もとてもリアルで、キュッと引き締まるような気がしました(^^)。
その他、シルクロードの話、ゴルフの話、そば屋の話。
本当に、贅沢な小説でした。
メインは、題名でもある、三千枚のメープル金貨。
時価一億円にもなるそうです。
それが、ある桜の木の下に埋まっている・・・?!
メルヘンですね〜〜(^^)。
でも、その金貨にまつわる過去には、暗くて、悲しい物語があったのでした。
謎に包まれた金貨の過去と、埋められた場所。
さすがにメインのこの話は、最も重厚で、複雑。
たくさんの人の名前が出てくるので、気をつけないと、えっと、誰だっけ?!になりそうでした。
そこをこらえて読んでいくと、芹沢由郎という男の人となりが徐々に見え隠れしてきます。
ただ、最後の方は、一応結末はついたのだけれど、結局はっきりとは分からず、
何となくうやむやになってしまったのが、残念でした。
まあ、それが、現実ってもんなのかもしれないけど。
(2011,04,19)
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