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「往復書簡」
湊かなえ
あれは本当に事故だったのだと、私に納得させてください。高校卒業以来十年ぶりに放送部の同級生が集まった地元での結婚式。女子四人のうち一人だけ欠けた千秋は、行方不明だという。そこには五年前の「事故」が影を落としていた。真実を知りたい悦子は、式の後日、事故現場にいたというあずみと静香に手紙を送る―(「十年後の卒業文集」)。書簡形式の連作ミステリ。 (「BOOK」データベースより)



手紙のやりとりをする形式の物語が三編。

最初に掲載されている「十年後の卒業文集」は、好きになれませんでしたが、
その後の二作品は、面白かったです。



「十年後の卒業文集」
高校を卒業して10年。
高校の時の放送部員同士の結婚ということで、懐かしい顔がそろった結婚式。
その後の文通で、驚きの事実と、その真相が曝かれる・・・。
みたいな感じですが、読み進むうちに、嫌らしい腹の探り合いが、露骨になってきて、人間嫌いに陥りそうでした(^^;。
表面上は、和気藹々としていながら、その底に見え隠れするどす黒い疑い。
あぁ、イヤだイヤだ、こんな疑い深い人間にはなりたくない!と思った作品です。


「二十年後の宿題」
この作品は、好きです。
たくさんの生徒と関わる、先生という職業。
生徒たちの中には、その後どうしているかと、心配になる生徒も確かにいることでしょう。
とても自然な流れで、ストーリーに入り込めました。
そして、徐々に分かって来る真実。
引き込まれました。
面白かったです。


「十五年後の補習」
これも面白かったです。
普通の恋人同士の手紙のやりとりと、最初は思わせておいて、実は・・・と、なるのは、前二作と一緒。
今では、ほとんど手紙なんて、書かないし、来ないけど、
やっぱり、メールと手紙だと、全く違うんだなぁと思いました。
手紙が来るのを待つドキドキ感とか、封書を手にした時のうれしさとか、
メールでは、決して味わえないですからね〜。



いつも、同じパターンで話が進むので、ちょっとマンネリ気味な気もするけれど、
まだ面白いと感じる事ができました。
次に読むのは、どんな作品かな。 (2011,05,17)