「マリアビートル」
伊坂幸太郎
元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―物騒な奴らが再びやって来た。『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。3年ぶりの書き下ろし長編。
(「BOOK」データベースより)
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たくさんの物騒な人たちが出てきます。
そしてそのほとんどが、同じ新幹線に乗り合わせて、物騒な事態になるのです。
登場人物が多いです。
でも、メインは、木村、七尾、蜜柑、檸檬、そして、王子さま。
ほとんどが、その筋の業者=殺し屋。
それぞれが、それぞれと、どこかで関連していて、大騒動になってゆきます。
メインの殺し屋さんたちについては、詳しく描かれているので、読んでいるうちに、どんどん彼らに対する好感度が上がってゆきました・・・殺し屋なんだけど(^^;。
不良少年がそのまま大人になったような木村。
とことん不運な七尾。
頭脳派の蜜柑と、”機関車トーマス”が大好きな檸檬。
愛すべき殺し屋さんたち(^^)。
それなのに・・・。
ラストの方になると、笑ってばかりもいられない状況になって、
まさかの展開。
えぇーーー、好きだったのにーーー、と思わず叫びたくなりました。
そんな、なかなか楽しい?作品でしたが、
一つ、最初から引っかかってしまったのが、
木村と、王子のやりとり。
王子は、かわいげの全くない、恐るべき中学生。
その王子がやったことは、許し難く、
自分の子どもに対して、あんなことされた木村の、王子に対する態度が、あまりにも、軟弱かつ、弱腰で、ずっと違和感を感じました。
たとえあんな状況であっても、もっと怒り狂うでしょう、普通。
そんな王子に対して、好意的すぎるのでは?
そこが引っかって、イマイチ乗り切れなかったのが残念。
他の人たちの言動は、楽しくて、好きだったんだけど・・・(^^)。
(2011,07,18)
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