「アンダスタンド・メイビー」
島本理生
「おまえは俺のこと、見つけられるって」
少女は踏み込んだ、愛と破壊の世界へ
デビュー10周年記念 書き下ろし作品
(帯より)
直木賞候補になった作品です。
読んでいて、ずっとイライラしていました。
何を考えているのか、何も考えていないのか、自ら悪い方向にばかり舵を取る主人公の黒江。
まあ、今時の中高生の、ちょっと目立つ女の子の人間関係は、こんな感じなのかなぁと
諦めながら、呆れながら読み進みました。
それに、とてもひどい目に遭っているのに、そのことに関する悲壮感があまり伝わってこず、
彼女が、そんなに感じていないのか、あえて、書かれていないのか。
自分に対しても、そうなのだから、他人に対しても、配慮のない態度・・・。
彼女の心の揺れ方に、ついて行けません。
でも、下巻になり、彼女も社会人になって、いい人間関係の中で生きてゆけるようになったんだなぁと、ホッとしていたら、
またまた、同じ事の繰り返し・・・。
本当にやりきれなかったです。
でも、それには、理由があった・・・。
少しほのめかされてはいたけれど、やっぱり・・・。
本人でさえも、気がつかない、もしくは、気がつかないふりをしなければならないほどの深い心の傷。
その傷のことを思うと、それまでの彼女の行動の不可解さが、ほんの少し分かったような気がして、気の毒に思いました。
と、同時に、本人にも、分からないことを、周りが気遣うことは、不可能に近く、それがまた、やりきれない思いを強くしました。
仁のような人に巡り会って、本当に、よかった。
文章は読みやすいのですが、どんどん読み進みたい、と思う話ではなかったので、なかなか読み終わりませんでした(^^;。
それから、人物の名前にちょっと違和感があって、読みにくかった・・・(^^;。
(2011,09,06)
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