「ひそやかな花園」
角田光代
親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける。『八日目の蝉』から三年。衝撃と感動に震える、角田光代の最高傑作誕生。
(「BOOK」データベースより)
子どもの頃の、夏の楽しい思い出。
いったいあれは、誰と、どこで過ごしたのだろう。
でも、親に聞いても、何も答えてくれない・・・。
そんな謎めいた出だしで、この小説は始まりました。
その謎が解けるまでは、スリリングで、どんどん引き込まれます。
いったい、その集まりは、なんの集まりだったのか??
ただのお友達?
それとも、新興宗教??
後半は、その秘密が分かってからの、彼らの苦悩の物語です。
親は、その事実を、そんなにも、隠したく、
子どもは、それを知ったことで、そんなにも、衝撃を受けるものなのか。
まあ、そうでしょうねぇ。
やはり、それは、自分のアイデンティティに関わる事ですから。
中盤、この問題に関わった人たちが、みんながみんな、不幸なタッチに描かれていたので、少々違和感を感じてしまいましたが、
それに続く後半は、その違和感をフォローし、かつ、納得のできるラストに収束しいったので、ホッとしました。
それにしても、妻たちは、そのことが、男親にとっては、どんなに辛いことかに、
気がつかないのは、なんと悲しい想像力の欠如でしょう。
しかし、そんな親たちの過ちも、
自分が、大人になったことで、理解できるようになるというのは、なんだかホッと出来るところです。
途中は、どうなることかと、暗い気分になりがちだった読書でしたが、
ラストまで読んで、明るい気持ちになれて、本当に良かったです。
(2011,10,18)
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