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「レインツリーの国」
有川浩


きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があったーー。 (裏表紙より)



ネットで知り合った伸とひとみは、ネット上で、様々なことを話し合い、意気投合。
彼は、彼女に、リアルで会うことを提案するのだが・・・。

確かに、ネットでつながっていても、実際に会ってみないと、分からない事って、ありますから、
二人のぎくしゃくした初対面の気まずさ、分かりますね〜(^^)。

その上、彼女には、ある障害が・・・。
私は、「図書館内乱」を読んでいたので、彼女の”状況”が、早い段階で、分かりましたが、 やっぱり初めて会うときには、前もって言っておいてくれないとねぇ・・・(^^;。

付き合っていく内に、分かることなのに、やっぱり、隠したいものなのかなぁ。

その辺りの微妙な心理は、人それぞれなのでしょうけれど、
そのことも含んだ様々なことを、彼女の障害に関連づけて考えて欲しくなくて、元々の性格だと言うことを分かって欲しいっていうのだから、
本当にめんどくさい女の子でありました(^^)。

それでも、絆を切りたくなかったのは、やっぱり、”惚れた弱み”でしょうね(^^)。
好きになった方が負け!ですからね〜(^^)。

いつもの有川節を感じさせる、二人の気持ちのぶつかり合いが、心地よい作品でした。

ただ、私は、書簡形式の小説が苦手でありまして、
書簡がメールに変わっても、それは、同じく苦手なままで、この本は、ちょっと読みにくかったです。
でも、短い小説だったので、なんとか最後まで読めました。

実は、私の身内も、難聴になる可能性のある、突発性難聴に罹患したことがある(その後完治しました)ので、耳が聞こえなくなる事への恐怖と絶望は、よく理解できるのです。

でも、実際に、聴覚を失った後の大変さについては、この本を読んで、初めて分かったことが多かったです。
その人それぞれの状況によって、様々な軋轢とか、区別とかも、あったりするんですね〜。
勉強になりました。

この小説は、元々、「図書館内乱」の中に登場した本です。
それが、違う出版社のコラボとして出版されるるという、面白い企画の作品となったそうで、
その辺りのエピソードは、文庫版に、著者のあとがきとして書かれていて、面白かったです。 (2011,10,22)