「オーダーメイド殺人クラブ」
辻村深月
中学二年のふたりが計画する「悲劇」の行方
親の無理解、友人との関係に閉塞感を抱く「リア充」少女の小林アン。普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子、徳川に自分が被害者となる殺人事件を依頼する。
(内容紹介より)
主人公は、中学2年の小林アン。
家庭でも、学校でも、悩みが多い彼女は、あることをきっかけに、ある大きな決断をします・・・。
確かに、14歳のこの年頃は、何やかやで、一番難しい年代。
社会的にも、一時期、この年齢の子どもたちが、驚くような犯罪を多発させて、世間を震撼させたこともありました。
そんな危ない年齢まっただ中のアンも、その例外ではなく、
学校では、友だちから”はずされ”、家では、母親との軋轢が深刻化しているのです。
傷つきやすく、それでいて、平気で、人を傷つけてしまう彼ら。
イマドキの中高生は、大変だなぁと、しみじみ思います。
私は、早くその時代を通過して良かった〜(^^)。
そんな年代の主人公アンが、”昆虫系”男子の徳川Jr.と、驚くべき事を計画します。
「私を殺して!」
その計画に向かって、ひたすら、そして、着々と進んでゆく二人。
事細かく計画を練ってゆく彼らは、本当に、それを実行してしまうのか?!
計画の詳細さをグロテスクに感じて、途中、少々辟易してしまいました。
徳川の存在も不気味だし、まさかとは思いつつも、二人の真剣さが怖かった・・・。
そんなわけで、これは、私には、合わない本だわ!と、ブー垂れながら、それでも、話の進展が気になって、読み続けました。
でも、ラストで、一気に救われました。
この話の流れからは、想像できなかった、優しさが、ラストに待ち受けていました。
中学生の頃の世界は、とても狭くて、その中で生きることは、とても辛かったり、悲しかったりすることもあるけれど、
一度そこを通り過ぎて、後からその時のことを考えたなら、案外、そんなにたいしたことじゃないかもしれないのです。
絶望だけしかないように感じても、実は、希望は、ほんのすぐそこに、あるものなんですよね。
この年代の心理が、しっかりと、描かれているし、内容的には少々過激だけど、中高生に読んで欲しいかなと思いました。もちろん、しっかり最後まで読んで欲しい。
この作品は、直木賞候補にもなりました。
(2011,11,21)
|
|
|