「箱庭図書館」
乙一
少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。
(「BOOK」データベースより)
↑の本の紹介のもあるとおり、この短編集は、文芸誌の企画で、読者の書いたボツ原稿を乙一さんがリメイクした作品を集めたものです。
原案がひとりの考えでないだけあって、バリエーションに富んだ話が集まっていて、それでいて、バラバラな感じもせず、面白く読めました。
「小説家の作り方」
異常に読書が好きな姉を持った少年が、小説家になった理由は・・・。
「コンビニ日和!」
コンビニの店員をしていた二人の前に現れたのは、コンビニ強盗だった。
・・・これ、おもしろかったです。発想の転換というか、なんというか。二人のキャラも、良かったな。
「青春絶縁体」
人とうまくつきあえない山里君は、口の悪い先輩のいる文芸部に入部する・・・。
・・・これも、よかったです。高校時代の人付き合いって、気楽そうに見えて、案外気を遣って大変なもの。こんな二人がいたって、おかしくないような気がしました。
「ワンダーランド」
道ばたで鍵を拾った優等生、高田君は、その鍵に合う鍵穴を探している内に、ある空き家にたどり着く・・・。
「王国の旗」
見知らぬ深夜の町で、小学生に連れて行かれたところは、廃墟になったボーリング場。そこで、子どもたちが、子どもの王国を作っていた・・・。
「ホワイト・ステップ」
雪の降り積もったお正月、なんの予定もない近藤裕喜は、静まりかえった公園で、不思議な足跡を発見する・・・。
・・・この作品が、一番よかったです。とても不思議で、ロマンチックで、素敵なお話でした。これは、映像化して欲しいな。綺麗な映画が出来ると思います。
バラバラの作品たちを、統一性のある話にまとめた乙一さんは、さすがです。
でも、この素敵な作品の”素”が、乙一さんのものではなかったというのは、ちょっと複雑に感じてしまいました。
(2012,02,06)
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