「夢違」
恩田陸
夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。予知夢を見る女、結衣子。俺は幽霊を視ているのだろうか?そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する集団白昼夢。狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。悪夢を変えることはできるのか。夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは―。人は何処まで“視る”ことができるのか?物語の地平を変える、恩田陸の新境地。
(「BOOK」データベースより)
久しぶりに読んだ恩田陸さんの本です。
ホラーのような、ファンタジーのような、ロマンスのような話でした。
話の中心になるのが、夢を映像化して記録する夢札というもの。
人間は、たとえ、覚えていなくても夢は見ているそうですが、
そんな自分でも覚えていないような夢を他人に見られて、しかも分析されるなんて、私なら、耐えられそうにないなぁと思いつつ読みました。
でも、それが、ヒロイン、古藤結衣子のように、予知夢を見る人に対して行うならば、それは必要で、かつ有意義なものになるのかもしれませんねぇ。
本人の負担は、限りなく大きいでしょうけど。
ストーリーは、事故で、亡くなったはずの結衣子が、色々な場所に出現したり、不思議な神隠し事件が起こったりと、なかなか面白く読むことが出来ました。
でも、難解です。
夢が可視化してしまうことによる、世界の変化とか、夢札を読み解く夢判断の技師?たちの職業病としての症状とか、私の理解を超えた話が出てきます。
でも全て、じっくりと書かれているので、それはそれで、読む楽しさはありました。
ラストに近づくにつれて、それまでの謎が徐々に解けてゆきますが、
最後の最後、それこそ、最後の1行を読むまで、なんだか安心できませんでした(^^)。
でも、これもいったい、現実なのか、それともまだ夢の中にいるのか・・・。
ちょっと、「インセプション」っぽい話だなとも思いました。
久しぶりの恩田作品、私は、まあまあ、面白かったです。
(2012,09,26)
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