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「もういちど生まれる」
朝井リョウ



時間と自由をもてあまし
不器用に生きる若者たちに訪れる、
5つの転機。
飛ばなきゃ、何も変わらない。 (帯より)

最初は、5つの話が収録されている、ごく普通の青春小説の短編集だと思って、何気なく読み始めました。
でも読んでいく内に、実は、この5つの物語、登場人物が少しずつ関連していて、同じ人物が、主役になったり、脇に回ったりという作品であることが分かってきました。
こんなふうに、登場人物が、それぞれの話に関連する、オムニバスのような話は、映画でも、小説でも大好きなので、
この作品も、2作目の途中から、グッと惹きつけられていきました。

20歳前後の、まだ、前途洋々で、色々な可能性を秘めた若者たち。
一見、明るく楽しく、お気楽に過ごしているようで、それぞれの心の中には、割と重い葛藤があったりするのです。
そうそう、私もこの頃は、そうだったな〜と思いつつ、甘く切ない思いいっぱいで読みました。

読み終わって、思わず、相関図を作りたくなるような、人間関係。
なかなか面白いです。
1,2話は、まだそんな事気にせず読んでいたので、再度読み返すと、彼らのつながりや、意外な心の内が分かってきます。

読み進むごとに、胸が痛み、思わず、主人公たちを励ましてあげたくなりました。
でも、これが青春!
自分で乗り越えてこその青春!
何も妥協しないで、悩んでいられることが、青春なんだと、過ぎ去ってから思ったりするのです(^^)。

映画化された「桐島、部活辞めるってよ」も、読んでみようかな。 (2012,10,18)