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「冥土めぐり」
鹿島田真希


あの過去を確かめるため、私は夫と旅に出た――裕福だった過去に執着する母と弟。彼らから逃れたはずの奈津子だが、突然、夫が不治の病になる。だがそれは完き幸運だった……著者最高傑作! (内容紹介より)

表題作は、第147回芥川賞受賞作品です。
芥川賞作品は苦手なのですが・・・(^^)。

母親の呪縛からの脱却・・・ですね。

夢見る母親を持つと、本当に娘は大変。
それが過去の栄光であればあるほど、その幻影は大きく、その夢に浸かっていれば、現実逃避できるわけで、この母親の気持ちも少し分かるような気もします。

でも、母親の夢と、現実との橋渡しをせざるを得ない娘の苦労は、大変。

そこに現れた”普通”の男に、彼女は、深く考えもせずにすがりつき、そして、だんだんと心が穏やかになってゆくのでした。

結婚とは、それまでの生活環境や、考え方の違う人と、共に生活をするわけで、
それを受け入れられなければ、その結婚は失敗するだろうし、受け入れて、自分たちのものとしていければ、幸せになれるのだと思います。

この物語のキーポイントは、彼女の夫、太一の存在。
今までまわりにいた人とは、全く違った彼の感性に、彼女はすがりつき、助けられます。
その後太一は、病気のために、彼女にとっての神に、さらに近づいたようにもみえました。

併収されている「99の接吻」は、申し訳ないですが、私には、意味不明でした(^^;。 (2012,12,03)