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「ヨハネスブルグの天使たち」
宮内悠介


デビュー作『盤上の夜』が直木賞候補&日本SF大賞受賞
伊藤計劃が幻視したヴィジョンをJ・G・バラードの手法で描く注目の新鋭による第2作
9.11の現場からアフガンまでーー世界5都市のリアルを発信する連作短編 (帯より)



第149回直木賞候補作です。
前作は、デビュー作で、直木賞候補作になった「盤上の夜」
今回の作品は、前作とは、全く違った趣の作品でした。

本作は、「ヨハネスブルグの天使たち」「ロワーサイドの幽霊たち」「ジャララバードの兵士たち」「 ハドラマウトの道化たち」「北東京の子供たち」の5編からなる連作集です。

一作目は、表題作である「ヨハネスブルグの天使たち」。
ヨハネスブルグとは、南アフリカ共和国の都市で、そのスラムに住む若い男女の物語。
その話の中では、ある一定の時間になると、夕立が降るのです。
しかしその夕立は普通の雨の夕立ではなく、落下耐久試験のためのロボットの夕立。
なんでそんなことが??
分からないことだらけですが、でも、その様子を想像すると、なんと、シュールで、もの悲しい景色でしょう。

他の短編の舞台となるのは、世界各地の都市で、それぞれバラバラなのですが、共通するのは、このDX9という、ロボットの存在と、不安定で、混沌とした世界。

さらっとは、読ませてくれない、難しい物語たちでしたが、全編を読んでみると、深みのある世界観が浮かび上がってくるような、そんな本でした。 (2013,08,02)