「望郷」
湊 かなえ
島に生まれ育った人々が織りなす、心の奥底を揺さぶる連作短篇集。日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作「海の星」収録。 (「BOOK」データベースより)
白綱島を舞台にした短編が6編、収録されています。
閉鎖的な島に暮らす人々が描かれていて、どれも、なかなか高レベルの物語でした。
ひとつひとつの話には、繋がりはないですが、どの話にも、息詰まるような島の生活感がリアルに感じられて、どれも、読みながら、息苦しくなってしまいました。
表面上の出来事と、真実とのギャップって、意外と多いのかもしれませんね。
どんなことがあろうとも、やっぱり、故郷は、特別な存在で、だからこそ、ややこしい・・・。
「みかんの花」
駆け落ちして、村を飛び出した姉の真実とは・・・。
想像していたことと、全く違った、隠された過去の出来事。
長い年月の末、家族の本当の秘密を初めて知らされて・・・。
「海の星」
突然失踪した夫を探し続ける母と、その息子の前に、親切な男・・・おっさん・・・が現れる話。
偶然の出会いのように見えていた彼の存在が、実は、深い葛藤の末の行動だったとは。
彼の優しさと苦悩が、最後になるとよく分かるだけに、母親の思いの強さが、ちょっと悲しく感じられもしました。
「夢の国」
今の時代に、こんな”家”!(^_^;。
手が届かないことだからこそ、夢がますます大きく膨らんでゆく・・・。
こんな環境、私なら、きっと、我慢できない(T_T)。
「雲の糸」
これは辛い。
読みながら、イライラしてしまって、私の方が、爆発しそうでした。
どんなに頑張って生きてきても、狭い世界に戻ってしまえば、にっちもさっちも行かない昔に戻ってしまう。
でも、ちゃんと理解してくれる人も、どこかにきっといるのです、たぶん。
真実をまっすぐに受け止めて、力強く生きていけたら、いいですね。
「石の十字架」
子ども時代の思い出を、自分の子どもに語り聞かせながら、当時を追体験していくと。。。。
「光の航路」
今の学校の先生は大変。
子どもは荒れ、親は脅迫まがいのことをしてくる。
いったいどうしたら、いいのか、途方に暮れてしまいます。
良識ある大人が、じっくりと腰を据え、注意深く観察しながら、問題の根本を見定め、それぞれを正しい方向に導いてゆく。
時間がかかって、大変だけれど、そうすれば、解決の糸口が見つかるのかも。
人間って、本当に弱くて、そして、残酷な生き物だな。
(2014,03,08)
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