花の旅 夜の旅
皆川博子
新人賞を受賞後、作家としては芽の出なかった鏡直弘の元に、ある旅行雑誌の編集者から連作小説の依頼が舞い込んだ。花の名所を題材としたグラビア「花の旅」に小説を添えるというその企画に張り切って取り組んだ鏡は、撮影班の取材旅行に同行するのだが・・・。作家自身の覚え書と作中作を交互に配置して驚愕の物語を紡ぎ上げてみせる幻の初期傑作「花の旅 夜の旅」、皆川ミステリの最高作との呼び声も高い、甘美かつトリッキーな恐怖小説「聖女の島」。現代最高の語り部、皆川博子の、まさに完璧な二長編を一挙に収録!(帯より)
前回読んだのは、エキゾチックな雰囲気満載の小説「光の廃墟」でしたが、今回の作品は、日本を舞台にしていました。
「花の旅 夜の旅」
売れない作家・・・というか、すでに作家であることを諦めかけた男に舞い込んだ雑誌のシリーズものの仕事。
男は、期待を胸に仕事を引き受け、取材旅行に同行するが・・・。
作家の作品と、その作品の覚え書きノートとが交互に登場する作品でした。
最初は、その体裁が分からずに、ちょっと戸惑いました。
そして、それが分かってきた頃、意外な展開が待ち受けていました。
しかも、作中に、”皆川博子”の名前が出てきて、また、びっくり。
初期の頃の作品ならではの、そんな仕掛けが面白かったです。
前に読んだ箇所をもう一度読み直さなければならなかったりと、少々面倒でしたが・・・(^_^;。
「聖女の島」
荒れ果てた軍艦島で、少女の更生施設を管理する園長、藍子。
火事で混乱した施設の再建を目指す園長の要請を受けて、本土から修道女がやってきた・・・。
藍子の止めどもないおしゃべりや、混沌とした記憶が、疎ましく、読むスピードが鈍りました。
読み進むと、彼女の混乱がさらに増大してきて、ますますわけが分からなくなりますが、その分、面白みが増してきました。
終盤に近づくと、ストーリーが妖しく変貌して、そのまま一気に読み終わりました。
ふ〜、皆川さんらしい、すごい作品でした(^_^)。
(2015,04,29)
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