ソロモンの偽証
宮部みゆき
クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か。自殺か。謎の死への疑念が広がる中、”同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まったーーー。一つの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、死の真相を求める生徒達を描く、現代ミステリーの最高峰。(裏表紙より)
図書館に予約した本が6冊ドドンと届いた時には、遅読の私が期限内に読めるのかと心配しましたが、ちょうどシルバーウィークだったため、4冊目までは、一日一冊ペースですいすいと読み進むことが出来ました。
さすが宮部みゆきさん!読みやすいです。
同級生が死んだ真相を知るために、学校内裁判を始める中学三年生達の話です。
登場人物それぞれの行動や心理が細かく描かれていて、一人一人の気持ちが伝わってきました。
共感したり、疑問に思ったりと感じ方も違いましたが、それは、本を読んでいく上で、いいアクセントになりました。
生徒の死は、それだけにとどまることなく、多方面に広がり、どんどん問題が大きくなっていきました。
読んでいて驚くのは、裁判をする生徒達の、スーパー中学生ぶりです。
裁判が始まるまでは、まあ、普通の中学生もしくは、しっかりした彼ら・・・という印象でしたが、
「第V部法廷」からは、まさしくスーパーな生徒達が大人顔負けの裁判を始めます。
こんな中学生いないでしょう、と思いつつも、中学生主催の裁判だからこそ、堅苦しくなく、読み進むことが出来るたのが、よかったです。
ただ、やはり、裁判が始まる所からは、読むペースが落ちましたけど・・・(^_^;。
一つの話をベースに、たくさんの枝葉が伸びて大きな物語になるのは、宮部さんの本の醍醐味で、読み終えた時には、達成感を感じます。
でも、文庫本の巻末に収録されている、作者が文庫の為に書き下ろした本編の登場人物が登場する「負の方程式」のような短編を読むと、昔のすっきりした宮部さんの作風を思い出して、こんなあっさりした話も好き!と思ってしまうのでした。(2015,10,04)
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