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彼女は一人で歩くのか?
森博嗣




ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。 (裏表紙より)



森博嗣さんのシリーズ作品を久しぶりに読みました。
最初は、これがシリーズ作なのかどうかも知らなかったので、危うく「魔法の色を知っているか?」を先に読むところでした。危ない危ない・・・(^_^;。

物語は、未来の日本。
首都は北海道にあり、人間は死なず、怪我や病気をしたとしても、よっぽどの損傷がなければ治療出来、食べ物は本物そっくりの人工物、そして、ウォーカロンのいる世界。

科学者で、この物語の主人公のハギリが研究しているのは、人間とウォーカロンの違いをはっきりさせるためのプログラム。
そう、ウォーカロンとは、人間に限りなく近づき、ほとんど人間との区別が付かないまで進化した生命体のことなのです。
このように、限りなく人間に近づけるまで進化させておいて、今度は、差別化を図ろうというのですから、人間という生き物は、なんと矛盾に満ちた生き物なのでしょう。

そして、死ななくなった人間には、ある問題が発生していた・・・。

死なない”ということは、当然、ずっと生きて、ずっと仕事するということで、それって、ある意味、無間地獄のような気がして、読んでいても、ちっともうらやましく思いませんでした。
ただ、主人公のような研究者にとっては、時間の制限なく思いっきり研究が出来るわけで、これほど恵まれた環境はないということなのでしょう。

文体は、読みやすかったですが、一部内容が難しくて、置いてけぼり状態の所もありましたが、気にせず読み進められました。
途中で”あの人”の名前が出てきたので、ニヤリ。
「魔法の色を知っているか?」も楽しみです。 (2016,04,02)